2005秋-グランドキャニオンへ

9/22(木)
今日はちょっとゆっくり、朝8時に起床しザイオンロッジでゆっくりとBuffetのモーニングを楽しんでから出発。マウント
カーメルハイウェイに入り東へ向かう。途中、昨年も行ったキャニオン・ザ・オーバールックへ立ち寄る。ここへは、トン
ネルを抜けてすぐ右にある駐車場か、もしくは150mほど先にいった左側にある駐車スペースにとめていくことになる。
トレイル自体は往復でも1.6マイル程度、途中かなり狭くなったりかがんだりしなければならないところもあるが、距離
が短い為、トレイルとしては易しい部類だ。トレイル終点の小さな3段ほどの階段を踏み出すと、いきなり眼前にひら
けた眺望が飛び込んでくる。両側がのがけに囲まれて、前方と両側には赤茶けた巨岩群が広がり、下にはたったい
ま上がってきた谷、これらが全て目の前に飛び出してくるのだ。絵本を開いて目の前にかざしたかのような光景に、
思わず「Beautiful!」と英語で叫んでしまうほど(たまたま手すり沿いにアメリカ人がいたせいかもしれない(笑))。
昨年来たときよりも若干朝が遅かった為、既に太陽が左岩峰から顔を出しており、そのため岩々の表面の赤みがや
や薄れて見えてしまうのがちょっと残念。やはりここは朝日が昇った直後に訪れたいところだ。


左:ナチュラルブリッジ、マウントカーメルハイウェイに入り、ヘアピンカーブの度に撮影ポイントがある。太陽との位置
関係から、ここは午後に来た方がいい。
中、右:キャニオンオーバールックへのトレイル。右はトレイル終点のすぐ手前。ここを過ぎると ↓な景色が飛び込ん
でくる。

画像をクリックすると更に大きな画像で楽しめます。

記念写真をたくさんとったあと、さらにマウントカーメルハイウエイを東に向かう。たったトンネルをひとつ過ぎただけな
のだが、このあたりの景色はシーニックドライブ方面とはガラリと異なるのがおもしろい。太古のかなたの造山運動の
激しさを物語るかのような大きく傾いた筋上の斜面や、露出した岩肌の様々な色合いを眺めながら、快適なワインデ
ィングロードが続く。こういう道はあえてのんびりと車を走らせるに限る。このあたり、あえてたとえるなら、そう、ビッグ
サンダーマウンテンのアトラクションに近いような。そういえばちょっとは雰囲気は伝わるかな?

Zionパークの東ゲートを過ぎたのが9時30分。さらに東に向かうと、20分ほどでマウントカーメルジャンクションに到
着する。ここからUS89号線South方面が我々の目的方向だ。一方Northへ向かうと一時間半でブライスキャニオン
だ。

この先は僕にとっても初めての地となる。最初は単調な山間の道が続いていたが、ほどなくしてKanabの街に到着、
ここでUS11号方面へいくとややショートカットした形でグランドキャニオン方面へ抜けるのだが、そのまま89号でレイ
クパウエル方面へ向かう。このKanabの街を過ぎると周囲の景色は一変する。なだらかな丘陵地をぬけたかと思う
と、突然視界360°の干ばつ地帯へと突入するのだ。「えらく道がまっすぐ続いているなぁ・・」と思うのもしかり、地
図で見ると確かにこのあたりは、途中で一箇所カーブがあるだけで、それ以外はほぼまっすぐなのだ。遠くに見える
崖も数万年先にはモニュメントバレーのビュートの様に侵食されるのかなぁ、などと考えつつ、ハンドルを握り続ける。



この単調な道に別れを告げ、やや緑に覆われた山の合間を抜けると、再び周囲は砂漠の様相を呈してくる。道の脇
には太古の海底の堆積をほうふつとさせる、筋上の色とりどりの崖が目を楽しませてくれる。確かガイドブックでも読
んだが、このあたり、地層が水平なのもあればいきなり50度位傾いているところもある。まさに大地の変動の激しさ
を見せてくれる地球博物館、といった趣150%の道だ。個人的にはこのあたりのドライブ、とても気に入ってしまっ
た。途中、腹ごしらえのために小休止してさらに走り続け、前方の道が砂漠の高原地帯から徐々に下っていくさまを
見せてくると、いよいよその先にはレイクパウエルだ。道を下ると、突如あらわれたかのようなレジャーの匂いがぷん
ぷんするような看板や建物が目に飛び込んでくる。レイクパウエルの手前、ちょうどアリゾナとユタの州境に、
LoneRockという岩がある。これ、グーを突き出したかのような岩で、まさにLoneRock、おきまりのポーズで記念写真
(笑)


LoneRock、本当にポツンと川の流れの真中に存在している。秘密基地か?と思ったほど(ウソつけ!)
右方面がレイクパウエル。


お決まりのポーズで・・・(苦笑)


89号線を走ると、LoneRockのあたりに二州の境界がある。ユタ州の看板が未だソルトレイクオリンピックの
ものであることにちょっと苦笑してしまった。アメリカの道路を走っていると、州境では必ずこういう看板を
目にすることが出来る。どの州も特徴あるデザインで見ているだけでも楽しい。

レイクパウエル周辺は、「猿の惑星」をはじめとした、いくつかの映画の撮影にも使われたところだという。なるほど、
そういわれてみると、目に入る景色はここが別の惑星だ、と言われると、そう思えてしまう(もっとも、別の惑星の景色
なんて見たことないんだけどね)。湖のはるか向こう岸、地平線のかなたまで広がっている荒涼とした大地の真ん中
にぽつんと取り残されたら、それは嫌な気分だろうなぁ・・・・目が覚めたら、壊れて傾いた自由の女神が見えた
ら・・・・・・。

この周辺にも見所はたくさんあるのだが(いや、ほんと、素通りするなんてほんともったいない!)、道沿いにあるグレ
ンキャニオンダムにちょっと寄り道。ここも他のダムと同様、ビジターセンターに入るにもセキュリティが非常に厳しい。
航空機搭乗時と変らない検査がある。もちろんカメラ・ビデオは持ち込めない。そんなわけでちょっと写真だけ撮って
おしまい。


給油をすませて、ホースシューベンドへ向かう。ガイドブックには案内板すらない、とあったが、なんのことはない、ち
ゃんと看板がたっていました。Pageから89号を南へ向かうと、左側にシェルのガスステーションがあり、そこを過ぎる
と道の両側はなーんにもない。ほどなく上り坂が始まるが、これが終わる手前に標識が立っている。この登りが終る
あたりに右に入っていく道があり、少し進むと駐車場がある。車をおいて、階段を上っていくとあたりが一望できること
に出る。ここからホースシューベントがわずかに見えるのだが、距離があるのと、高低差があまりないため、その全貌
は眺めることが出来ない。ポイントまではまったく日陰がないので、夏の暑い時期にはしっかりとした暑さ対策が必要
なところ。

左:トレイルの途中。地面は赤茶けた砂地で歩きにくい。背の低い潅木の向こう側に見えるのが
ホースシューベンド。右:崖っぷちに立って撮影。ご覧の通り手すりもなにも無い。
(右の画像をクリックすると、ホースシューベンドの大きな画像が見られます)

さて、10分ほど歩いていくと、手すりもなんにもない所に出る。そこから見たホースシューベントは、ただひたすら「う
わぁ...すげぇ・・・」のひとこと。確かモニュメントバレーを間近に見たときと同じような驚嘆の声をあげたような気が
する。ガイドブックで見ていた景色がそのまま視界一杯に飛び込んでくる迫力は、これは現場にいかないとわからな
い。思っていた以上に大きいのだ。馬蹄形の侵食された岩の直径だけでも100mm位はあるだろうか、はるか底を
流れるコロラド川を見ていると、そこに吸い込まれそうなくらいの高度がある。いくらスカイダイビングやっていたって、
こんな眺めはあんまり得意じゃぁない・・・。どのくらい高いかというと、ボートに乗っている人たちが米粒くらいにしか
見えないくらい、小さいのだ。感覚的にはハーフドームのてっぺんからバレーフロアを覗き見たときと同じくらい高さが
あるように思えた。ここ、間違いなくお気に入りに追加の場所です。

ちょっと寄り道、程度にしか思っていなかったところが、意外にも大きな印象を与えてくれたのに気をよくして、いよい
よ11年ぶりのGCへ車を走らせる。時刻は13:00、およそ約二時間のドライブだ。BitterSpringsでKanabで分岐したも
う一本の89号と合流する(ここを右折するとグランドキャニオンのノースリム方面へ行くことが出来る。なお、
BitterSpringから右折して14マイルほど走ると、MarbleCanyonなる場所がある。ここもちょっと惹かれたのだが時間
の関係でパスした)。さらに南下してモニュメントバレー方面への160号との分岐を過ぎるとほどなくCameronの街。
「おぉ、11年ぶりだ!」と声を上げながら64号線へと右折して、いよいよGCサウスリムへ。

サウスリム・EastGate手前のおなじみの看板。だいぶ痛んでいた。


デザートビューからの眺め。右方向がコロラド川上流方面。先のホースシューベンドのあたりでは岸壁は単調な
赤茶色だけだったのが、ここまで南下してくると、これほどまでに変化に富んだ地層の様子を見せてくれる。
更に下流(左方向)数百kmにわたって続く渓谷を見ていると、否が応でも数億年の時の流れを感じる。不思議な
ものだ。

ここからさらに走ること40分あまり、北東ゲートでNationalParkPassを見せていざ入園。ホースシューベンドから丁度
二時間、最も東に位置するデザートビューポイントに車を止めて、広大な渓谷との11年ぶりのご対面を迎えた。ここ
で軽く景色を眺めたり写真を撮ったりした後、今回の宿であるヤバパイロッジにチェックイン。ここも他の国立公園同
様、建物の壁が周辺の景観とマッチするように作られている。丁度松ノ木の緑と同じような色の概観だ。部屋も広く、
冷蔵庫もあり、なかなかお勧め。荷物をおいて一息したら時刻は既に午後6時、そろそろ日没の時間だ。徒歩でリム
に出て、ヤバパイポイント方面へ歩きながらキャにオンの日没のひと時に身をおく。周りは不気味なくらいの静けさが
支配している。幸運にも晴天に恵まれた為、綺麗な夕焼けを拝むことが出来た。刻一刻と変わっていく渓谷の色模様
の変化はとても文章であらわすことは出来ない。是非その目で見て欲しい。


リムトレイルより。夕陽に照らされて見事なコントラストを映し出してくれた。

再び歩いていったんロッジに戻り、ロッジのインフォメーションセンターに隣接している食堂で夕飯。そのあとロッジに
戻って明日の為の朝食兼昼食のおにぎりを作って就寝。

この日はザイオンからGCまでのつなぎ、位にしか考えていなかったが、途中のドライブでの景色も含めて、結構楽し
めた一日だった。意外な見所も発見できたことだし、こういう予想外の事ならば何度起きても大歓迎だ。

本日の走行距離:258mile、歩行距離:およそ2mile。

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